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『武刃街 BUJINGAI』でキャラクター原案を担当した、川元利浩氏にお話を伺いました!
■依頼は丁度良いタイミングだった
─── 『武刃街 BUJINGAI』に参加された経緯を教えてください。
海外のアニメのコンベンションに参加した時に、レッドの久保さん(※1)や兵藤くん(※2)が担当ゲストと同行していて、そこで行動を共にして色々お世話になったんです。良い仕事があれば一緒にできれば良いねみたいな話をしたり。そういうところで縁がありまして、今回兵藤くんから改めて「レッドで新しくアクションゲームを作るんだけどキャラクターの仕事をお願いできないか」と話が来たわけです。
(仕事を)受ける受けないというのは、自分の場合タイミングというのが大きいんです。丁度受けられるタイミングだったというのと、コンベンションでお世話になった兵藤くんからのお話というのと、今まで自分が手がけた事のないジャンル、香港テイストの強いキャラクターというところで、ちょっとチャレンジしてみようかなみたいなところがきっかけですよね。
あとはもう、いきあたりばったりと言うんですか(笑)。
その時はまだ、自分が本来抱えている作品の作画に入っていたところなんですけど、まだ放送枠が決まっていない段階で、仕事のキャパ的にもやれる余裕があったというところで、本当に丁度良いタイミングで依頼があったんです。
 川元 利浩 株式会社 BONES 所属 『COWBOY BEBOP』等、人気アニメのキャラクターデザイン・作画監督等をこなす。シャープで存在感のあるキャラクターを描き、海外でも高い評価を受けている。 『武刃街 BUJINGAI』では、キャラクター原案を担当。 |
─── 依頼された時に武侠映画チックなものと聞いてどのような印象を持たれましたか?
コスチュームラインがこうなるとは全然思ってなかったんですよね。もっと現代風な少年が出てきて。
時間軸が飛んでたり、そういう四次元的なところがあるんだけど、もっと未来チックなところもあるサイバーパンク的なものになるのかな、という匂いもありつつ任侠もので…。どこから手を付けていけば良いんだろうという迷いはありました。
─── 今までに武侠映画をご覧になった事はありますか?
『グリーン・デスティニー』(※3)って武侠じゃないですよね?そっち系のものしか知らなかったんですよね。
『レジェンド・オブ・ズー』(※4)という映画を参考に見せてもらったんですけど、結構ハマりましたね(笑)。10回ぐらい観てます。カッコイイんですよ〜。
─── 「こういうゲームを作るんだ!」と期待したところはありましたか?
そうですね。『レジェンド・オブ・ズー』にしろ『天才バカボン』のオープニングじゃないけど(笑)、高〜い塔の上に独り立って服がなびいてるっていうその絵がすごくなんか印象に残ってて、格好良かったんですよね。そういうシチュエーション的なところを取り入れられれば、自分にとってはそこからでもハマれるゲームになるだろうっていう感覚があったんですよね。
─── 実際ゲームを見てどうお感じになりましたか?
やっぱり最後まで気になってたのがマフラーと服の前垂れの部分の動きで(笑)、仕上がったゲームを見て、ちゃんとなびいていたのでホッとしました(笑)。うれしかったですよ。
CGムービーで、彗星の中に劉が入って剣で踊ってたじゃないですか。あそこで腹かかえて笑いましたけど(笑)、いやこれは変わった演出だなあっていう感じで(笑)。
オープニングとか編集の仕方、カット割とか結構きれいな流れでできていて、ゲームでここまでできるのかと思って感心しましたね。格好良かったですよ、あれは。
あと、アクション中の溜めが入るのがなんか気持ち良いですよね。動きの途中でピタっとストップモーションが入るっていうのが。あのケレン味が最高に決まってるんじゃないですかね。
※1…レッド・エンタテインメント所属プロデューサー。代表作『GUNGRAVE』シリーズ。
※2…レッド・エンタテインメント所属アシスタントプロデューサー。『武刃街 BUJINGAI』ではイラストと美術設定の制作進行を担当。
※3…2000年に日本でも公開された中国のファンタジー・アクション・ラヴストーリー映画。
※4…2001年に公開された香港のアクション映画。日本では劇場未公開。2004年に『天上の剣』というタイトルでDVDソフトが発売される。

■キャラクター作成秘話

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─── 劉は形を作るのにどれくらい掛かりましたか?
期間的にはそんなに掛かってないとは思います。
点数は結構描いたんですけど、時期的に集中して仕事ができたので(笑)。
取っ掛かりの部分でもありますし、この主人公を作らない事にはその先が見えてこないっていうところもあって、とにかくその主人公というのを詰めていこうと。
自分のキャラ作りはいつも、初めはとりあえず何点か描いてみてジャッジしてもらう形を取るんです。
最初のうちは、(キャラクターや世界観を)やや掴みきれていない状態だったんで、まず数点違うパターンで主人公を描いてみて、進藤さんとかプロデューサーの奥村さんに見てもらってジャッジをしてもらい、それを詰めてラフを重ねて徐々に形を整えていったというところですね。
─── 劉を作る時のキャラクターのイメージはどこから持ってきたのですか?また、苦労した点や参考にされたものはありますか?
顔にしても、かなりのパターンを描いているんですよね。顔の造形が決まったら次はヘアスタイルを何パターンも描いてという、モンタージュ的な作り方をしていったんですよね。だから、特に誰かをモデルにしたとかそういうのは特にないです。
服の模様は、三国志とか史実モノのイラスト本や写真集とか、中国の様式美が載っている図解書等を参考にしながら、いろんな図案をはめ込んでいって格好良さを優先しつつ作りました。実質的には、服の模様を描くだけで大変(な作業)でしたけど(笑)、これでリテイクをもらったらどうしようとか(笑)。
─── 主人公が完成して、次はどのキャラクターに取り掛かられたのですか?
ライバルキャラの雷ですね。雷も劉と同じく何点かラフを描いてジャッジしてもらって詰めていって、いろんなアイデアをそこでディスカッションの中で取り入れて、また改めて描いて詰めて、というかたちで進めていったんですけど、劉のラインで世界観がある程度見えているので、劉ほど苦労はしてないですね。

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─── 雷のあの髪型がすごくインパクトがあったんですけれど、それは川元さんご自身のアイデアですか?
そうですね。何点か描いたラフの中の一つではあったんですよね。あと、髪飾りが伸びて武器になるみたいなのは、ディスカッションの中でアイデアとして面白いんじゃないかという事で取り入れてみて、形にしてみたんですけど。
あと、雷の場合は「山寺宏一さんの声のイメージで」という話だったので、山寺さんの声がハマるキャラクターにしようというのをある程度念頭に置いてデザインはしてます。
─── 雷が終わった後にヒロイン(蓉華)と師匠(殴)ですね。この二人は同時進行ですか?
そうですね。同時進行だったんですけど、ヒロインの方でやっぱりちょっと難航しまして。(こちらと開発側の)お互いのイメージが固まらないまま何点も描きおこして、描きおこしては没にしてまた新たに描きおこすという。
─── 蓉華を描かれるにあたって何かイメージされた方や映画はありますか?
いや、特にないですね。顔立ちが大人びた表情のデザインから、反対にそのファニーフェイスな少女っぽい顔のデザインというのもあったりして、やっぱり自分の中でもまとめきれてないっていう感じのラフなんですよね。だから特に誰かをモデルにしたというわけではないです。
─── 蓉華のイメージは最初からああいうロングの衣装でひらひら、ふわふわっとしたイメージがあったのですか?
ロングとミニの両方のラフを描いて、その後の打ち合わせでロング派とミニ派に分かれて(笑)、結局ロングのチャイナっぽいラインで、という事で描き進めました。
中間を取ったという事ではないんだろうけど、やはりイメージとしてミニっていうと結構元気な女の子という印象になって、キャラクター設定の神秘的なイメージというのから離れちゃうんじゃないかというところもあったと思うんですけど。

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蓉華の模様は鳳凰のイメージです。劉が龍で、雷が虎で、蓉華が鳳凰というキーワード的なところはデザインオーダーとしてあったので、そこをコスチュームの中に取り入れたわけですけれども。
カラーリングに関しては、実は自分を含めていろんなスタッフがいろんなアイデアを出し合って決めているんですね。グリーンっぽいチャイナになったのは、自分としてはちょっと予想外だったというのが正直なところなんですけど。でも、キャラクターとしてかなり映えているし、個性もかなり出てますよね。
─── 殴は他のキャラクターと比べて苦労されましたか?
「若本さんがしゃべってるイメージで」っていうオーダーがあったので、かなり具体的に自分の中にズドンと伝わってくるわけですよ。だから「よっしゃ、わかった!」みたいな、「こうでしょ!?」みたいな感じなんで(笑)、比較的デザインとしては早く固まったかなと思いますけど。
時間的にもヒロインが掛かっちゃった分、殴の方でスケジュール的にフォローができたかな、という感じですね(笑)。

■3D化されたキャラクターの印象
─── お描きになった絵が3Dに起こされるのは今回が初めてですか?
初めてではないですけど、ここまでリアルバージョンになったのは初めてですね。
─── ご自身の絵は3Dに起こしやすい絵だと思われますか?
いや、それは全然さっぱり思わないんですけど(笑)。
『カウボーイビバップ』をやってて、時々フィギュアの監修をしてくれって頼まれた事があるんですけど、主人公の髪型で納得したフィギュアが来た事がないんですよ(笑)。それはやっぱり、デザイン的に3D化が向いてないのかなと。自分でもわかって描いてるんですけど。

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─── 今回のキャラクターは髪型がそれぞれ面白いんですけど、3Dになったものをご覧になってどうですか?
主人公の髪型はファッション雑誌か何かのモデルを参考にはしていて、なんとか立体的なものというイメージはあったんですけど、殴に関してはもう筆の勢いと言いますか、それこそアニメの設定画で描いちゃってるところがあって(笑)、それをどうやって3D化するのかなというのは楽しみでもありました。
─── では、出来上がったものを見ていかがでした?
いや〜、面白かったですよ(笑)。「おお、こう来たか。できちゃったよ」みたいな感じで。
主人公も、デザインはしてみたものの3Dのモデルを見て改めて「あ、こうなるのか」というのを再認識したという感じで、結構面白かったですね。「ちゃんとできちゃった」って(笑)。
─── 他のキャラはいかがですか?
そうですね。雷は設定通りですよ。ほとんどイメージ通り。顔立ちはややリアル系になってますけど。
蓉華もほとんど設定を再現してもらってますよね。

■次は3Dに近付けたデザインを
─── いつもはアニメの方のお仕事をなさってるわけですけど、今回はゲームのお仕事をされていかがでした?
そうですね。アプローチの仕方から仕上がりまで、当然2Dのアニメとは違うものなんですけど、自分にとっても良い経験になったし勉強もさせてもらったし、今までの仕事のノウハウではないところで仕事をするというのは非常に刺激的ではありましたね。
次またこういう機会があるのであれば、アニメのデザインというよりは3Dに近付いた方向でデザインをさせてもらうというのも面白い試みかな、と思いました。機会があれば良いんですけど(笑)。
─── ありがとうございました。

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