|
グラフィック・モーション担当の開発者に突撃インタビュー! 難しかったところ・こだわったところなどをお聞きしました。
■モーションはメリハリ重視
─── 皆さんのお名前と『武刃街 BUJINGAI』制作における役割を教えてください。
河本 | モーションのディレクターをやりました河本です。主にプレイヤーのモーション調整と、敵モーションやモーションキャプチャーの指示をしていました。 |
金子 | エフェクトと2Dの表示物を担当した金子です。 |
香川 | クリーチャーのデザインとモデリングを担当しました香川です。 |
斎藤 | マップのまとめと管理をやっていました斎藤です。 |
藤田 | 劉と雷のモデリング、全体的なグラフィックのクオリティ管理(アートディレクション)をやりました藤田です。 |
─── 河本さんはモーションを担当されたということですが、格好良いモーションを作る際に一番気を使ったのはどういった部分でしたか?
河本 | 一番気を使ったのはやはり動きのメリハリですかね。メリハリをなるべく付けるように考えて作りましたね。 |
─── 映画等を参考にされたんでしょうか?
河本 | 殆ど感覚で付けることが多いです(笑)。確かに(映画は)観てはいますけどね。ただ今回はモーションキャプチャーを使用したんで、キャプチャーしたモーションを部分的に強調してやるという作業が主でした。 |
 河本憲孝 モーションディレクション担当 代表作 『うちゅ〜じんってなぁに?』 『麻雀宣言 叫んでロン!』 『サイキックフォース2012』 等 |
─── 大変だった部分はありますか?
河本 | 今回モーションを二回撮ったんですよ。一回目は(アクターさんが動きを)覚えてる内に撮った方が良いかなと思って、リハーサルの後、本番を撮るまでの間の期間を取らなくて上手く行かなかったんです。アクターさんはリハーサルから本番までにいくらか練習する時間が必要みたいなんですよね。二回目ではそこも考慮して行ったので、スピードやクオリティが全く違ってました。今回はその辺がかなり勉強になったかなと思いました。 |
─── すると河本さんはモーションキャプチャーが初めてだったということなんですか?
河本 | 厳密に言うと初めてではないんですけど、今回は量が多かったということもあって、そういう失敗をしたという感じですね。 |

■エフェクトは妖しく
─── 続いてエフェクト担当の金子さんにお聞きしますが、剣戟時に劉が剣を振ると龍が飛び回ったりしますが、剣の軌跡だけではなくそういったものも周りに飛ばすというのはどこから発想されたんでしょうか?
金子 | やっぱり、武侠と言えば龍だろうと(笑)。初めは何も出してなかったんですけど、剣戟がいつから始まっているのかがわからないという印象があったので、何か周りに出してみましょうということでああいう感じにしました。 |
─── 妖術はバリエーションがありますけど、西洋風ファンタジー系などの魔法との差別化やこだわった部分はありますか?
金子 | とにかく妖しい感じに(笑)。妖術の「妖」は「あやしい」なので…。キラキラしすぎてもあんまり他と変わらないかなと思ったので、とにかく妖しく(笑)。 |
─── 一番大変だった妖術は何ですか?
金子 | んー…。轟焔剣とか、火を使うやつですね。どこから見ても火に見えないといけないので。他(の妖術)は結構突飛なことができたんですけど、「火」は実際にあるものなので簡単ではありませんでした。何回も作り直しました。 |
 金子陽子 エフェクト、2Dデザイン担当 代表作 『ハードパンチャーはじめの一歩2』 『グレイテストストライカー』 『プチカラット』 等 |
─── ゲージなどのインターフェース類も担当されたそうですが、そこで注意されたところは?
金子 | こちらも妖しく(笑)。中国とか武侠とかって(ストレートに)考えちゃうと、(イメージが)どうも偏っちゃいそうな気がしたんです。それと、初めは(オプションメニューなどの)項目も少なかったんですけど、きっと(後から)増えるだろうと思って、上手く対応できるようにああいうデザインにしました。あと、できるだけシンプルにわかりやすく。 |
─── 金子さんが『武刃街 BUJINGAI』を妖しくしたということなんですかね(笑)。
| 一同 | (笑)。 |
金子 | いや、周りがはやしたてるので、妖しくせざるを得なくなったんですよ。私自身は初めストイックな格好良い路線でいこうと思ってたんですが、周りが「もっとはっちゃけようよ〜」と言うので、あんな感じに。 |
─── 3Dエフェクトは今回初めて担当されたんですか?
金子 | そうですね。今までは2Dしかやってなかったので立体的に見せるというのは初めてでした。右も左も全然わからないものだから、毎日プログラマーから「こんな絵しかできないんですか?」と怒られて(笑)。しかも気に入らないと(ソフトを)作ってもくれないし(笑)。 |

■敵デザインはちょっとファニーに
─── 続きましてクリーチャーデザイナーの香川さんにお聞きしますが、『武刃街 BUJINGAI』では迫力あるボスや独特の雰囲気のあるザコ敵等、他ではあまり見たことがないクリーチャーがたくさん出てきますが、どういう部分にこだわってデザインされたのですか?
香川 | 「妖怪っぽい感じにしたいな」っていうのがあったんですよ。シャープな感じではなくもっさりした感じに(笑)。さっきも出ましたが妖しい感じですかね。「かっちょええな」っていうより、なんかちょっとファニーなとこもあった方が良いなというイメージがありました。 |
 香川智洋 クリーチャーデザイン担当 代表作 『うちゅ〜じんってなぁに?』 『レイクライシス』 『レイストーム』 等 |
─── やはり中国の妖怪とかを参考になさったんですか?
香川 | しました。一番最初は文献とかを調べました。例えば孰湖(ジュクコ)は「馬に羽が生えた妖怪」として実際に中国で伝えられているんです。四凶の饕餮(トウテツ)は「頭が牛や羊でお金が大好き」という説があったので、頭は羊にして前垂れ部分に昔の(中国の)硬貨を使ったり、モチーフを色々集めて作りました。窮奇(キュウキ)の場合は本当は虎なんですが、檮朷(トウコツ)と似てしまうため意図的に龍に変えています。 |
─── どのくらいの数をデザインされたのですか?
香川 | ボツも多いので、40くらいは描いたと思います。ちょっと未来的なものが入った中華風のものや、上海をイメージした西洋テイストのキャラも描いたんですが、ステージとの関係でボツになりました。 |
─── そういえば、敵はみんな男性タイプですよね。女性型は渾敦(コントン)だけで。
香川 | 女性型はあまり作りたくなかったんですよ。個人的に男性型の方が(作るのが)面白いのと、女性型は妖怪っぽくアレンジしにくいというのがありました。渾敦(コントン)も男性タイプを描いたんですけど、チームのみんなの意見でギャルになりました(笑)。男性型が良いと言ったのは藤田だけでした。 |

■我望雲を見て欲しい
─── では続いてマップ担当の斎藤さんにお聞きします。『武刃街 BUJINGAI』は近未来がちょっと混じった中国のような不思議な世界観ですが、背景を作る上で注意した点は何でしたか?
斎藤 | 今回担当者の殆どがマップ作成の経験がない人たちだったので、(テクスチャ等の)イメージがなかなか統一できなくて、藤田と協力してイメージの統一をしていきました。 |
─── ステージを作る時は、実在するモチーフを見ながらやる部分が多いのですか?
斎藤 | そうですね、実際に亡侠街(舞台一)を作っていた時は、香港(の町並み)の写真ばかり見てるわけではなくて(※1)、廃墟の写真を集めたりもしました。(モデリングの時間よりも)資料を集めてる時間の方が多かったかもしれないです。
ただ建物自体を普通に作っても、それだけだとテクスチャに影が付いていないのでのっぺりしてしまうんですね。そこで頂点カラー(※2)を使って影や光を表現したりステージ全体のカラーを統一したりして、怪しさを表現しました。 |
─── 絵自体はそれほど特殊ではなく、そういう演出で妖しさを表現したというわけですね?
斎藤 | そうですね。でも今回はあんまりちゃんと表現しきれてないんですけどね。個人的には不完全燃焼な部分もあります。 |
 斉藤 慎 マップモデリング担当 代表作 『エナジーエアフォース』 『グレイテストストライカー』 『RCでGO!』 等 |
─── 亡侠街や我望雲(舞台七)は、大幅に作り直したという話をお聞きしたんですけど、それはどういう経緯で?
斎藤 | それは絵的なイメージの相違やゲーム性の部分でです。開発中にプレイヤーの性能がどんどん変わっていったりしたので、それでゲームバランスを取るためにマップの方もどんどん変更していったんです。「プレイヤーがこう動くからマップの方もこうあるべきだね」って。
そこら辺は、ゲームを作ってく段階でどんどん変更を加えていかないと、以前のマップだと全然遊べないマップになってたりとかがあると思うんで、ゲーム作ってる上で仕方がないかなという部分はありますね。 |
─── では、楽しさを追求するために変更していったということですね?
斎藤 | そうですね。(ディレクターの)青木の方にもどんどんプレイしてもらって、「ここはこうなった方が良いよ」という意見を出してもらって。 |
─── アクションゲームの場合、風景をゆっくり見ることができないところがありますけど、是非プレイヤーの皆さんに注目して欲しいポイントはありますか?
斎藤 | 自分が担当ではなかったんですが、我望雲。風景というか、マップ自体の造りみたいのを色々見てもらいながらプレイしてほしいですね。あそこは他のマップと違って広い空間を作っているような感じなので、プレイしていても楽しいかなあと思いますね。 |
※1…亡侠街は、実際の香港がイメージのベースだった。
※2…ポリゴンの頂点に色をつける技法。それによりポリゴンの色を変え、擬似的にライトが当たっているように見せることができる。

■「Gackt像」が難しかった!
─── では次にアートディレクターの藤田さんですが、藤田さんはグラフィック全体をまとめられたんですよね?
藤田 | そうですね。色の統一を取るために「もっとこうした方が良いんじゃないか」というのを敵担当や背景担当に指示したりしました。 |
─── 先ほど斎藤さんにもお聞きしたんですけど、このゲームはかなり特殊な世界観ですが、一貫したコンセプトはどのあたりを参考にされているんですか?
藤田 | 一番元になっているのは、武侠映画のようなブッ飛んだ世界です。リアルじゃなくてファンタジーの世界独特の雰囲気を取り入れて、やっぱり妖しく(笑)。 |
 藤田 允 アートディレクション担当 代表作 『スペースレイダース』 『JETでGO!2』 『リアルパンチャー』 等 |
─── 劉のモデルを作られたということですが、実際Gacktさんとお会いして、それを基に劉の顔を作られたんですか?
藤田 | 最初は、去年(2003年)の初めぐらいにGacktさんにお会いして、直接デジカメで顔を撮影してきて、それに忠実に作ろうと思ってやってたんです。その段階では、Gacktさん本人の造形はそれなりにできたと思ったんですけど、周囲の反応は良くなかったんです。 |
─── それはどうしてですか?
藤田 | 造形は忠実だったんですが、それだけでは人が持っている「Gackt像」には近づけなかったということです。それを修正していく作業が難しかったですね。 |
─── それは具体的にどういうふうに修正したんですか?
藤田 | それは、自分の力では結局どうにもならなかったっていうのがあったので、金子をはじめ女性社員やチームメンバーの意見を集めて修正を重ねました。 |
金子 | 藤田にはかなりわがままを言ってしまったと思います。けど、(意見が)かなり反映されたと思いますよ。ぜひゲーム中のGacktさんの顔を見てください。「こっち見て!」って感じで(笑)。 |
藤田 | 自分としても、最終的には良いものができたと思っています。 |

■アクション部分を是非楽しんでください
─── 今回はレッドさんとコラボレートされたましたが、グラフィックという点で何か影響を受ける部分はありましたか?
斎藤 | マップの場合なんですけど、最初は始める時から全員が同じイメージを持ってるわけじゃないので、それを統一しようということでレッドさんと一緒にイメージ画を作って「このマップはこうあるべきだろう」というものをどんどん詰めてきました。
社内だけだと考え方が結構限られちゃったりするので、「こういう考え方をする人もいるんだなあ」というのがあって、色々勉強にはなりましたね。 |
─── 開発の時に「ここが大変だった」とか「こうしたかった」とかそういうことはありますか?
河本 | 剣戟システムはモーション的にちょっと悩みましたね。「プレイヤーと敵でどうやって同期を取るのか?」とか。結局同期は取らずに別々に殺陣を付けてモーション撮影を行ったんですよね。ゲーム上では音と雰囲気で何とかなるだろうと(笑)。で、実装したら案外それっぽかったんでホッとしましたよ。 |
香川 | できれば、デッカイやつとも剣戟ができるぐらいはっちゃけてても良かったかもしれないですね(笑)。ザコでも勃皇(ボッコウ)なら手裏剣みたいに身体全体でグルグル回りながら剣戟やるとか、それくらい無茶しても面白いかも。 |
河本 | 確かに、どの攻撃でも剣戟できれば良かったかもしれないですね。 |
─── 最後にユーザーの皆さんにこの辺を楽しんで欲しいというところを教えてください。
金子 | エフェクトや表示物の妖しくバカっぽい雰囲気を味わいつつ遊んでもらえたらな、と。美しさよりも武侠っぽいバカバカしさというか、はっちゃけっぷりに浸って世界に入って遊んでいただけたら良いかなと思います。 |
藤田 | ボイスモードですね。あれは結構音だけ聞いてても楽しくて、遊んでて吹き出すようなのが沢山あるので、突き詰めてやってみてほしいなと思います。なかなか聞けないような声もありますので。 |
金子 | 私はバグチェック中かなり救われました、Gacktさんの応援に(笑)。 |
| 一同 | (笑)。 |
斎藤 | 絵的なことではないんですけど、ボタンを押してるだけで(連斬が)決まったり、Gacktさんってこともあってプレイヤーが格好良くポーズを決めてくれたりするんで、初心者でも楽しみながらお手軽に遊べるものになってると思います。そして慣れたら深いところへ…さっきも話しましたが我望雲はなかなか深い場所なんで、是非エキスパートモードまで遊んでもらえたらなあと思います。 |
河本 | 自分もアクション部分を是非楽しんでもらいたいですね。色々な場所を自由自在に走り回れたりするので、イメージ通りに移動できたりすると面白さを感じられると思います。ショートカットなんかも沢山あるんで、色々探すのも面白いかもしれないですね。 |
─── ありがとうございました。

|